新ゼミ生課題作品:エッセイ「今までで一番笑った経験」3
駒澤大学GMS学部山口ゼミでは、2008年度ゼミ生募集に際し、課題作品の提出を求めました。ここでは提出作品を順番にご紹介しています。エッセイ部門の課題は「今までで一番笑った経験」です。これは「ちょむはる」さんの応募作品です。
(担当山口)
これまでの人生で一番笑った経験
by ちょむはる
私とRは性格が正反対である。お互い自分に持ってないものを相手持っているのでそれに魅かれたのかとても仲良しだ。彼女はとても気分屋でマイペースである。私はそんな彼女について行くのがいつも楽しかった。しかし、某大学AO入試の時、事件が起こったのだ。
高3の9月、彼女はとある大学のAO入試を受けることになったのだが、手をつけるのが遅く、国語の教師と私とRで何度か放課後に居残り、締切当日のお昼すぎにやっと完成させた。3時までに大学まで行って出願をしなくてはならない。幸い志望大学と高校はとても近いので間に合うはずであった。
私はRに頼まれ一緒に大学の前まで行くことになった。電車はとても混雑していた。ギュウギュウの電車を降りて改札を出たら…Rの手にあったはずの願書・提出課題がない!!どうやら電車の網棚の上に忘れてきたらしい。
焦った私は駅員さんに助けを求めるが、なかなか話を聞いてくれず、大学側に電話しようという話にもなったのだが、大学の資料もすべて電車の中。電話番号がわかるはずもない。結局、駅員室にいた若い駅員さんが助けてくださってなんとかが願書・提出物を発見。しかし、発見された駅はとても遠かった…。その駅になんとか着くもRは車掌さんにばかり話しかける。後から聞いた話だが、駅員さんと車掌の区別がつかなかったらしい。
駅員室で手続きをすまし、なんとか願書・提出物を受け取り大学へ向かう。もうここからは電車では間に合わないからタクシーを使うことになった。こんな状況でもRは「まじか!うちらセレブじゃね???」と、上機嫌だった。結果的に時間はすこし過ぎてしまったが受け取ってもらえた。
帰りにRが「なんかお礼したいし、今日はウチ泊まってきなよ~」というので急遽泊まりに行くことになった。しかし、Rの地元に着き駐輪場に向かうとRの自転車がない。その日に限って朝Rは父親に車で駅まで送ってもらったらしい。さすがに足も痛いし、疲れていたのでバスに乗ることになった。私はバスに乗ることは久しくなかったので、よくバスの仕組みがわからない。ましてや私はRの地元のバスなんてわかるはずもないので、Rに任せる事になった。
「先に座ってていいよ!」とRに言われたので、私はバスの奥の席でRを待っていた。Rは大量のバス共通券を手に握りしめて私の隣に座った。Rの財布の中には札しか入ってなかったらしく、お札を出したらおつりが全部それだったそうだ。そしてなんとRはどこで降りたらいいのかわからないらしい。
結果、Rが(まだ行けるだろう、まだ行けるだろう…)
と思っていたら、全くわからない所に辿り着いてしまった。
私が「ここはどこ?」と聞くと、すかさずRは「ここって私が住んでる区域なの~?」と逆に聞き返してきた。
9月末なのですっかり空も真っ暗になり、寒い風が吹く。人がまったく通らない場所に私とRは制服姿で歩いていた。降りたバス停の位置ももうわからない。Rは「まあいいじゃん!明るくなるまでここにいよう!」と言いだし、もうなんでも良くなってきていた私はうなづいた。しかし、それから10分もしないうちに人が通った。すかさず、私たちは話しかけ、とりあえず“明るい場所”まで連れてってもらえる事になった。
私たちは“明るい場所”に連れてってもらいお礼を言った。その“明るい場所”とは私たちが降りたバス停であった。ふりだしに戻ったが、さっきまで居た場所よりははるかに良い場所に思えた。もうバスも走ってない。携帯も既に充電が切れている。仕方がないのでバスで来た道を辿ることになった。なんとかRが知っている道に戻ることができて、Rの家についた。すごい胃が痛い1日だった。この日Rが言った最後の発言は「こりゃいいダイエットになるね~!アクティブダイエット買えばよかった!…あ、でも私の財布の中バス共通券しか入ってないね~!!」だった。ちなみにアクティブダイエットとはカロリーオフのダイエット飲料である。
これは本当に実話である。なんでRはあんな状況でもマイペースなのか、なんで他人事であるのに私の方がハラハラしてたのか、普通なら逆じゃないのか…と今思うとすごい笑える。だが、この1日を経験して私はどんな状況でもポジティブなRにすこし感心した。
ちなみにRはAO入試は残念ながら不合格だったもの、一般入試で合格して今大学に通っている。
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なんというか、客観的には笑っていいのか一瞬迷ってしまうような話ですが、ご本人はよほどおかしかったんでしょう。強い緊張から解放されたときには笑いが出てくるそうです。しかしこのRさん、かなりの「筋金入り」ですが、1日振り回されたあげくに「ポジティブなRにすこし感心」しているはるちょむさんもかなりのものだと思います。私を含む世の小心者の皆さんも見習いたいですね。
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