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2008/03/30

新ゼミ生課題作品:エッセイ「今までで一番笑った経験」9

駒澤大学GMS学部山口ゼミでは、2008年度ゼミ生募集に際し、課題作品の提出を求 めました。ここでは提出作品を順番にご紹介しています。エッセイ部門の課題は「今までで一番笑った経験」です。これは名無し7号さんの応募作品です。
(担当山口)

今までで一番笑った経験

それは確か私が小学生の頃だったと思う。その頃と言うのはキックボードが流行っていた時の事だ。流行りものはなんでもすぐ欲しくなる性格の私は、その年の誕生日プレゼントにはもちろんキックボードをねだった。小学生への誕生日プレゼントとしては少し値段が高かったので始めは断られた。だが、私には妹がいるので二人で平等に使うことを条件になんとか買ってもらえた。

買ってもらうと早速家の近くで乗り回した。私の家は山の中間地点のような所にあるため、坂道を滑り放題だった。ただ、下るのは良いが上ってくるのは大変だっただろうと思う。しかし小学生の私にはそんなことなどおかまいなしだ。

そんなある日、それまでケンカせずに妹と二人で使っていたのだが、どちらかが我慢していたのが何かの拍子ではじけたのだろう。いきなり乗る順番でもめだしてしまったのだ。なかなか決着がつかなくてしょうがないので私が二人乗りをしてみようという案を出すと、渋々ながらも妹はその案に賛成してくれた。

その後しばらく平たんな道を二人乗りで駆け巡って楽しんでいたのだが、二人だとさすがに重くて疲れたのでどちらもこぐのは嫌だと言い、それならこの長い坂をとうとうくだってしまおうということになった。―私の家は山の中間地点と言っても、ほぼ一番上の方にある。「この長い坂」というのは私の家の下方の坂で、普段は短い上方の坂でばかり遊んでいた。その上方と下方の坂の間には平たんな場所が500メートルほど続いているのでそこでもかなり乗り回していた。―

その長い坂は一人でなら何度か下ったことがあったが、結構な距離なので早さも出て、スリルもあるので楽しいポイントだった。ただ、上ってくるのが面倒なので小学生でもさすがに疲れてしまうので何度も行くことはしなかった。
 一人でも恐いときがあるので二人で行こうとは考えたこともなかった。しかしこれを下ったら帰ろうということで勇気をだして二人で下り始めた・・・。

始めは快適だったのだがどんどん下っていくうちにスピードがものすごいついてきて、歩道を走っていたのだが途中でハンドル操作を誤り、縁石からガター――ンと落ちてしまったのだ。しかし奇跡的に私たちは転ぶこと無くそのまま走り続けることが出来たのだ。そのときは本当にあせって、これでもかというくらい目を見ひらいていた。

しかしその後も坂道はまだ続く。一命を取りとめた私たちに新たなる危険が襲い掛かった。キックボードのハンドル部分は上げ下げできるのだが、さっきの衝撃でその金具が壊れたようで、ハンドルがいきなりガタンッッと下がった。本当だったらその下がった勢いで前方につんのめっていたと思うが、またまた奇跡的に瞬時にバランスをとり、あの細いボードの上に二人でうまい具合にしゃがみこめた。しゃがみこんだは良いが、たっていた時よりもかなりバランスがとりにくくなってしまいグラッグラッしながらそのあとは何事もなく無事にふもとにたどり着いた。

やっとふもとでキックボードから降りれた時には二人ともあまりの恐ろしさで変な汗をかいていて今何が起こっていたのか分からない状況だった。なんとか頭を整理すると、ふとものすごい笑いが込み上げてきた。

なぜそんなに笑えたかと言うと、まずはホッとしたときにくる笑いだったのだろうと思う。あまりにも恐怖感が大きかったためその分を反映するかのように大きな笑いの波が来たのだろう。そして縁石から落ちたときの自分たちの顔や、ハンドルがさがった時のバランスのとり方や、二人してしゃがみながら必死にバランスをとりながら猛スピードで下っていく姿を想像するとあまりにも馬鹿らしい光景スギて笑いを止めることが出来なかったのだ。

このことを思うと、死と笑いは表裏一体していると思う。なぜなら、一歩間違えたら死んでいたわけだし、一歩間違わなかったからただ笑い話になって終わったわけなのだから・・・。


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危ないですね。怪我がなくて何より、です。これが一番笑った経験ということは、これが一番こわかった経験なのかもしれませんね。

かつて、笑いは緊張の緩和からくる、と言った人がいたと思いますが、まさにその典型例です。少し似ているもので「つり橋効果」というのもあって、上手に活用していただきたいものですが、本当に危険なものはあまりお勧めできません。やはり遊園地のジェットコースターやらおばけ屋敷やらあたりにとどめておいて欲しいものです。

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