新ゼミ生課題作品:エッセイ「今までで一番笑った経験」17
駒澤大学GMS学部山口ゼミでは、2008年度ゼミ生募集に際し、課題作品の提出を求 めました。ここでは提出作品を順番にご紹介しています。エッセイ部門の課題は「今までで一番笑った経験」です。これは名無し14号さんの応募作品です。
(担当山口)
一番笑った思い出の数々
私は中学、高校と○○学園に通っていたのですが、そこで私は現在の親友の××という男に出会いました。中学生のとき私は1組で××は2組で、お互い名前は知っている程度の仲でした。しかし高校に進学してからは授業のクラスが一緒になることが多くなり顔を合わせる機会が増え、気がついたらほとんどの時間を共に過ごすようになっていました。
××は身長が187cmで、体重が全盛期で120kg(今は90kg高3時は76kg)あったが運動神経は人並み以上でした。人の笑いを誘うのには最適な体型です。××は自分が太っている事に何のコンプレックスも感じておらず、私が「ダイエットとかしねーの?」と聞いた時は「太っている方が面白いじゃん!」と返してくるような奴だった。
確かに面白かった。普段私たちは制服のズボンを下げて履いているのに体育の授業ではわざと小さめの短パンを限界まで上げて履き、デブとは思えないほどの速さで動き回ったり(これは私も一緒になってやっていた)、その格好で尻をみんなの方に向けてもの凄い勢いで反復横跳びをしたりしていた。彼と一緒にいて爆笑しない日はなかった。
○○学園は高3から男女が一緒になるという変わった授業システムになっているので女子の目を気にして××は大人しくなるだろうと思っていてが、むしろ奴が本領を発揮しだしたのは3年になってからだった。高3になると放課後に廊下で「一発芸大会」という一種の我慢大会のようなものを内輪でやるようになった。メンバーは「面白い奴」が5~10人位で、その中にもちろん××はいた。ここでは、誰かのネタで笑ってしまった人が自分のネタを見せ、誰も笑わなかったらずっとやり続けなければいけなかった。しかし××がスベることは滅多になく、ほとんど一回で誰かしら笑っていた。彼のネタの中でも「北朝鮮の子供」、「ジャイアントコーン」、「溶き卵」は『腹がよじれる』というレベルを超えていた。
高3の中盤にもなると受験勉強のために毎日大学の図書館に残って9時まで勉強するようになった。しかし××と一緒にいると勉強もそこまで捗らなかった。夏のある日、私はいつになく黙々と勉強していて、ふと気付くと前の席に座っていた勉強していたはずの××の姿は無かった。1時間位してやっと戻って来たかと思ったら自分の席には向かわず、勉強している人たちからは見えない本棚の裏へ向かって行った。
何をしているのかと思い後をつけていったら、××はそこの床で本を四角に並べて、その中で学校の裏の森で捕まえてきた3匹のカブトムシを戦わせていた。しかもその3匹のカブトムシはいきなり飛び始め、図書館中を飛び回った。××は焦りながらカブトムシを回収していたが、私は静かな図書館の中1人で笑いを堪えるのに必死だった。結局教員にバレることなくカブトムシを回収でき、大事には至らなかったのだが、今でもあの時のことを思い出すと笑いそうになってしまう。××の面白さは学校内にとどまらず、通学で利用しているバスの中でいきなり酔っぱらいの真似をしだしたり、食事のときは鼻からラーメンの麺を一本吸いこみ口から出したりして常に笑わされた。
高3の冬、図書館で9時まで勉強したあとにコンビニでおでんを買って公園で二人で食べていた時に、私は不意に××に「何か面白いことやって」と言ったら彼はおもむろに袋からコンビニでおでんと一緒に買った10円の駄菓子「蒲焼きさん太郎」を取り出し、言葉では表現できない動きをしながら「蒲焼きさ~~ん!!」と叫び回った。私はおでんを吐き出し、近所迷惑になりそうなほどの声で大笑いした。××と一緒にいると受験勉強のストレスは全くと言っていいほど感じなかった。しかし、緊張感の無い毎日をおくり、自分の学力を理解しているつもりでいた私は見事に浪人した。××も志望校は全部落ちたが親の勧めで慶應の通信へ行った。
私が浪人して4ヶ月ほど経ったある日、私が予備校の自習室で勉強していると、××がメールで「ちょっと話があるから外出てきて」と送ってきた。何事かと思い外に出ると、××は真剣な顔で「俺、やっぱり写真撮りたいわ」と言い出した。「やっぱり」の意味が分からない。××が写真に興味があるなんて今まで誰も聞いたことがなかった。どうせディスカバリーチャンネルか何かを見てそう思ったのだろう(実際にそうだった)。そして彼は慶應の通信を辞め、今は東京工芸大学に通っている。まさか本当に浪人までして写真を撮りたいと思っていたとは思ってもいなかったので友達にその話を聞かされた時は笑いに笑った。
私は今まで××に数え切れないほど笑わされたが、その毎回が一番と言っていいほど腹が痛くなるまで笑わされました。
今後の人生も笑いながら生きていくのだろうと思います。
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ここに登場する友人の「××」さんですが、原文では実名が入っています。基本的にあだ名で呼ばれているのですが、実名が容易に想像できるあだ名でした。××さんには許可を得ていると書いてありましたが、ちょっとどうかと思いましたので、一存ですべて「××」で統一しました。同様の理由により、中学・高校の名称も「○○学園」と変えています。ただ、後で大学名が出てくるのですが、これは文章の趣旨に影響すると思いましたので、残してみました。
面白い友人というのはいるものですが、ご本人を知らないとうまく伝わらないことがよくあります。この××さんについてもそうで、なんとなく雰囲気は伝わってくるのですが、いまひとつ隔靴掻痒の感がありますね。「北朝鮮の子供」、「ジャイアントコーン」、「溶き卵」とお題だけ書かれましてもねぇ。難しいものです。写真家になりたいということなのでしょうか。ぜひがんばって、「笑顔を撮らせたらピカイチの写真家」(あ、風景写真希望?)をめざしていただきたいところです。
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