こち駒「やだニュース」:「ガンを飛ばした」で逮捕(2008年7月14日)
こんなニュースあったらやだな、という架空ニュースをお届けする、こち駒「やだニュース」です。
(担当:山口)
最近、逮捕の理由に「業務妨害」というものをよく見かけます。たとえばこの記事。
殺人予告で29歳無職を逮捕 池袋署の業務妨害容疑 インターネット掲示板「2ちゃんねる」に「今から池袋行って100人殺す」などと書き込んだとして、警視庁池袋署は16日までに、業務妨害の疑いで浜松市南区西町、無職鈴木陽容疑者(29)を逮捕した。 調べでは、鈴木容疑者は9日、自宅のパソコンから2ちゃんねるに殺人予告をした上で「もうすべてが嫌になった」「おれもやる」などと書き込み、警備を強化させるなど、池袋署の業務を妨害した疑い。
業務妨害罪というのは、刑法第233条に規定されています。条文は以下の通り。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
この記事の場合は、2ちゃんねるに書きこんだことが「偽計」にあたるのでしょう。本当にその気があったわけではない、ということかと思います。これがもし本当にやる気だったとしたら、第234条の威力業務妨害罪にあたるのでしょうか。いずれにせよ、警察の業務を妨害したので犯罪、ということです。
他でも指摘されているようですが、この件については、専門ではないのですが、どうも疑問を抱いてしまいます。犯罪者を逮捕したり、犯罪を予防したりすることは警察の本来業務ではないのかという点、及び、これを使えば警察は目をつけさえすれば誰でも簡単に逮捕することができるようになってしまうのではないかという点です。公務員に本来業務をさせることが業務妨害にあたるのだとしたら、すべての犯罪者は業務妨害罪をも犯していることになりますし、公務員に限らず他の人に仕事をさせることは、それが「偽計」とみなされればなんでもかんでも業務妨害とされてしまうおそれがあります。
上記の「やだニュース」は、そういった懸念を表現してみたつもりです。「ガンを飛ばす」行為というのが、単に目つきが悪いだけで害意はないことが「偽計」とされてしまい、これで警察によけいな業務をさせれば、引用した記事と同様の業務妨害罪になってしまうのではないか。これがどんどん認められるようになると、警察官に目をつけられれば誰でも犯罪者にされてしまうのではないか、と。
私たちの社会を安全に保とうとする警察の方々の努力は認めますが、だからといってその権力行使にフリーハンドの自由を与えてしまうのは、警察権力の強大さを考えると、非常に危険です。私たちは、どのような社会が望ましいかについて、自分たちで考えていかなければならないと思います。
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