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2008/10/25

今月の漢字(2008年10月):「暴」

毎年暮れになると、「今年の漢字」というのが発表されます。それにならって、「今月の漢字」というのを考えてみようと思いたちました。毎月、漢字を一字選ぶ中で、その月に起きたことをふりかえっておこう、というものです。年1回よりも月1回のほうが、よりタイムリーな要素を反映できるのではないかと思いまして。しょっぱなの今月、2008年10月はというと、やはりこれでしょうか。
(山口)

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この字は、「web書道:マウスで遊びま“SHO”!」というサイトにある、マウスで書道ができるというサービスを使って書いてみたものです。なんて下手な字だと思う方はぜひご自分で試してみてください。マウスで字を書くってそう簡単じゃないですよ。

本家の「今年の漢字」は、Wikipediaによると、「財団法人日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字一字の公募を日本全国より行い、その中で最も応募数の多かった漢字一字を、その年の世相を表す漢字として、毎年12月12日の「漢字の日」に京都府京都市東山区の清水寺で発表する」のだそうです。昨年、2007年の漢字は「偽」でした。食品偽装など、信頼が重要とされるはずの分野で、その信頼が裏切られるニュースが多かったことを思い出します。

2008年10月の漢字に「暴」を選んだのは、やはり経済情勢の影響を強く受けています。株価の暴落に暴騰と、株式市場はまさに暴風雨のような波乱が続きました。その原因となった米国のサブプライムローン問題についても、暴力的なまでの金融資本主義の行き過ぎによるものだとの論調が少なからず見られます。

しかし、ファイナンスを研究する立場からいわせてもらうと、昨今の情勢は、本来もっと有用に使われるべき金融の技術が、金儲けのために、きわめて乱暴な方法で使われたことの結果のように思われます。また、より長い目でみると、私たちはこうした金融・資本市場の乱調を何度も経験してきました。同じ失敗の繰り返しは、人々が苦い経験もしばらく経つと忘れてしまうために起きているように思われてなりません。経済はときに「暴れる」ものという認識と、それへの備えが必要なのだと思います。

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コメント

昨年の「今年の漢字」は「偽」でした。清水寺貫主が「こんな漢字が選ばれて嘆かわしい」と残念がっていました。せめて「今月の漢字」には良いイメージの漢字を選びたいと思います。10月には4人の日本人がノーベル賞を受賞しました。南部陽一郎さんは米国籍ですが、ノーベル賞は国籍にこだわらないそうですから、日本人にしておきましょう。そこで、「今月の漢字」は「賞」が相応しいと思います。

投稿: はっさん | 2008/10/26 17:01

はっさんさん、コメントありがとうございます。
「今年の漢字」は1年を代表するものです。それが昨年「偽」だったのはちょっと残念でしたね。「今月の漢字」は、対象期間が短いので、もう少し気軽にいろいろトライできるのではないかと思っています。10月はやはり経済のことが大きかったので、「暴」でいきたいと思います。ノーベル賞の授賞式は11月ですから、「賞」は11月の漢字にするという手もありますね。考えておきます。
蛇足ですが、国籍にこだわらないというノーベル財団の価値観を受け入れるなら、受賞者が「日本人」ないし「かつて日本人であったアメリカ人」であることを喜ぶのも変な話ですよね。

投稿: 山口 浩 | 2008/10/26 22:26

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