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2008/10/12

東京ゲームショウ2008:AR技術の可能性

2008年10月9日-12日の期間、幕張メッセで、東京ゲームショウ2008(TGS2008)が開催されました。「こち駒」もゼミ生からなる取材チームを派遣し、取材を行いました。これからそれぞれのレポートが上がってくると思いますので、私は自分が気になったものを中心にいくつかご紹介していきます。今回はAR技術の可能性を感じさせる展示を1つ。
(山口)

「AR」とは、Augumented Reality(オーギュメンテッド・リアリティ)の略で、日本語では「強化現実」「拡張現実」などと訳されます。いわゆるVR(バーチャル・リアリティ)技術の一種で、単にコンピュータの中に仮想現実の世界を作るだけでなく、仮想現実で作られた映像を現実の映像の中に落とし込み、両者を一体として見せるものを指します。

この技術は、近年のVR技術の発展の中で注目が集まっているテーマの1つです。世間一般の人は、完全な仮想現実の世界にそれほど興味を持っていません。映像を現実の世界の映像と結びつけることで、現実に意味のある「価値」をもらたすことができると考えられるわけです。

特に昨年、NHKで放映されたアニメ「電脳コイル」は、AR技術が日常生活のインフラとして広く普及した世界を描き、アニメファンだけでなく、多くのVRや他の分野の研究者の関心を集めました。こうした映像に描かれることで、専門家だけでなく、私たち一般人も、技術が実際にどのように使われればいいか、その際どんな利便性が実現され、どんな問題が起こりうるかなど、多くのことについて、具体的なイメージを持つことができるようになります。イメージできるようになると、ニーズが生まれます。現在はまだ技術が発展途上であり、実用化されたものはあまりありませんが、今後、AR技術を使った商品やサービスがどんどん登場してくるのではないかと思われます。

ここでご紹介するのは、AR技術を応用した製品。芸者東京エンターテインメント(株)(変わった社名ですね)の製品、「電脳フィギュア ARis」。「アリス」と読むようです。実用的な価値はなく、フィギュアを飾っておくのと同じように、パソコンのデスクトップ画面に映しておく、というものです。

百聞は一見に如かず。動画でご覧ください。

見えにくいでしょうが、パソコンのモニタの上にある大きなビデオモニタのすぐ下に小さなビデオカメラが置かれています。パソコン画面には、このカメラで撮った、現実の机の映像が映っていますが、そこに現実には存在しないはずのフィギュアが見えています。現実の映像の上に、仮想現実であるフィギュアの映像をリアルタイムに重ね、一体としてモニタに表示しているわけです。

キーボードの手前に、妙な模様が書かれた小さな立方体があります。これが「マーカー」と呼ばれるものです。マーカーに描かれた模様を解析することで、立方体が置かれた位置や向きを把握し、それとの位置関係でフィギュアの配置を決定します。他にも、さまざまなマークが描かれたカードが出てきますが、これらもマーカーで、これをカメラに見せることで、フィギュアは内蔵AI(人工知能)に仕込まれたさまざまな動作をします。

これが会社のブース。
Cimg2337

この製品自体はかなり「趣味性」の強いものですので、興味のない人もいるかもしれませんが、AR技術の活用例としては注目に値します。より技術が進めば、実用に使われてくるようになるでしょう。簡単に考えても、スケジュール管理などの秘書機能、パソコンやウェブサイトの操作ヘルプ機能、ゲームなど、さまざまな発展形がありえます。フィギュアの外見にしても、男性にすることもできるでしょうし、動物やロボット、子ども等にすればより広く受け入れられるかもしれません。携帯電話もカメラと画面を持っていますから、携帯電話版も考えられるでしょう。

もちろん、現実の上に重ねる映像は、こうしたフィギュアでなくてもかまいません。最も実用的なのは、目の前に映っている物などの説明があらわれる、といったものです。メガネ型ディスプレイや携帯電話などを使って、お店の商品を映すとその上に商品に関する情報(たとえば価格や性能などの詳しい説明や、使っているところの映像など)が重なって見える、といった使い方が考えられます。観光地で、携帯端末を建物等に向けるとそれについての音声解説が出てくる、といった実験はすでに行われています。

この製品、10月19日発売予定だそうですが、すでにネット通販サイトのアマゾンではかなりの人気商品となっているそうです。

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