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2009/02/28

新ゼミ生課題作品:エッセイ「私の人生最大のピンチ」5

駒澤大学GMS学部山口ゼミでは、2009年度ゼミ生募集に際し、課題作品の提出を求 めました。ここでは提出作品を順番にご紹介しています。エッセイ部門の課題は「私の人生最大のピンチ」です。これは名無し4号さんの提出作品です。
(担当山口)

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私の人生最大のピンチ

私の今までに経験した人生最大のピンチは、中学の時にサッカーの試合中に起きました。

その試合は、地区の代表を決める大事な試合で、私はセンターバックというポジションをしていました。相手は県でベスト4のチームでしたが、負けたら引退になってしまう試合だったので、誰一人気を抜くことなく互角の戦いをしていました。

しかし後半、私は相手チームの選手から悪質なファールをうけ、転んだ拍子に膝の肉がパックリ裂けてしまいました。故意におこなったファールではないものの、どうやったらサッカーの試合でこんなに血が出るんだというくらい出血していました。

大量に出血していたため、審判に試合を続けることをとめられ、治療をするために一度ベンチに下がりました。人生でワースト3に入るくらいの痛みでもうこれ以上試合を続けるのは無理かなとも思いました。

監督や控えの選手たちは「これ以上試合を続けるのは無理だ!」と口ぐちに叫んでいましたが、私のチームにはセンターバックができる選手が控えにいませんでした。

ここでチームの流れを断つわけにはいかないと思い、監督にどうしても出たいと懇願した結果試合に出してもらえることになりました。しかし血はとまっていません。血がとまらないことには審判は試合続行を許してはくれません。

そこで、血は止まらなくとも、止まったように見せればいいと思い、多少は動きにくかったものの包帯を何重にも巻いて、そのうえからさらにテーピングをグルグル巻きにして試合に出場しました。

試合に出ることはできたものの、痛みのせいでまともに走ることができませんでした。そんなとき思いついたのが、とにかく試合に集中してアドレナリンをだして痛みを忘れるという方法でした。そんなこと出来るわけないと思うかもしれませんが、以前にも似たようなケースがあり効果は身をもって実証済みでした。

試合も劣勢だったため、ディフェンダーの自分はボールに関わるシーンが自ずと増え、気がつくと痛みを忘れ、痛みを思い出したころには試合が終わっていました。

試合が終わり、監督に今日のところはもう帰れと言われ、病院に向かいました。診察をしてもらうと10針縫うという自分でも予想以上の大けがでおどろきました。そのあと一か月は練習に参加することもできず、一人さみしくグラウンドを眺めていました。

以上が私の人生最大のピンチです。

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なんかとっても痛そうなピンチですね。
後遺症とかなかったのでしょうか。だったらいいんでしょうが、個人的にはあんまりお勧めできませんねぇ。監督の方が見てくださってはいたんでしょうけどね。夢中になると痛みを忘れるという経験をした人はけっこういるでしょうが、ここまでのケースはやはり珍しいかと思います。

それはさておきこのケース、ある意味興味深いです。この場合、「ピンチ」とはいったい何を指しているのでしょうか。(1)怪我をしたこと?(2)痛くて走れそうもなかったこと?(3)控えの選手がいなかったこと?(4)無理をして走り回ってしまったこと?(5)結果として大怪我だったこと?(6)その後練習に参加できなかったこと?

もちろん全部、ということなんでしょうが、この中には、自分にとってのピンチとチームにとってのピンチが混在しています。控えの選手がいなかったというチームのピンチは、怪我をおして自分が出るというチャンスにつながったわけです。しかしそのチャンスは、怪我を悪化させてしまったかもしれない(実際に悪化したかもしれませんね)というピンチをも招きました。果たしてピンチは忌むべきものなのかどうか?

さらに、自分にとってのピンチの中には、そのピンチの真っ最中にピンチだと気づいていなかったものもあるわけです。試合中には10針も縫う怪我だとは思っていなかったのでしょうし、ひょっとしたら、知らないうちにもっとひどい結果につながりかねない危険に直面していたかもしれません。ピンチをピンチだと気づかないことは果たしてピンチなのかそれとも気づかない以上ピンチとは認識されないからピンチではないのか?ピンチに気づいたほうがよかったのか気づかなくてよかったのか?

いろいろ考えるネタになります。ともあれ怪我には要注意、ではありますが。

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