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2009/04/08

新ゼミ生課題作品:エッセイ「私の人生最大のピンチ」10

駒澤大学GMS学部山口ゼミでは、2009年度ゼミ生募集に際し、課題作品の提出を求 めました。ここでは提出作品を順番にご紹介しています。エッセイ部門の課題は「私の人生最大のピンチ」です。これは名無し8号さんの提出作品です。
(担当山口)

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私の人生最大のピンチ

ピンチ=未知への体験、経験
私はそう思っている。

私のそんな人生最大のピンチ改めと未知への体験とは高校2年生の冬に行った修学旅行である。

修学旅行と言えば普通は京都、奈良や沖縄、北海道などの国内だが私がいた高校の修学旅行は海外に行くという伝統があった。海外への修学旅行といっても私のいた高校はかなり変わっていてクラスによってイギリス、フランス、イタリアと行く国が3カ国に分かれていた。その中で私のクラスはイタリアのローマと芸術と歴史のある町フィレンンツェに行くことになった。

イタリアに行くことがきまった当初、当時サッカー部に所属していた私は
「もしかしたらサッカーの試合が見ることができるのではないか?」
など様々な妄想を膨らまし、他の高校への友達からは
「すげーうらやましいな!お土産よろしく」
など言われ、すっかり舞い上がっていた。

しかし所詮は妄想。
冷静になって考えてみると、私はそれまで海外旅行に行ったこともないし、飛行機にも乗ったことがない。ましてやイタリアは3カ国の中でも一番治安が悪いと聞いていた。またイタリアについてから初日以外は班行動と聞いていたので更に不安が増していくのがわかった。見知らぬ地、日本語はおろか英語も通じるか怪しい国でたかだか16か17歳の高校生6人だけで行動することに私はものすごく怖かった。

そう、私はイタリアに行く前からすでにピンチだったのだ。もしこれが国内だったらどんなに気持ちが楽だっただろうか。親ですら海外には1,2回しか行ったことがなく、親もあてにならない状態で海外旅行での予備知識はおろか何が必要かなどということすらわからなかった。先生はどうかと言うとその年の前の年に修学旅行でフランスに行ったもののイタリアに行ったことのある先生など誰もいない。

何が起こるかわからないし、何をすればいいかわからない。要するに未知の領域である。今考えても、よくそんな状態で学校は修学旅行でイタリアに行かせたなとも思ってしまう。そんなことをしてしまう学校は良いのかよくないのかわからない。その年の前にイギリスでテロが起きていたのでこんな状態では保護者の中から苦情の一つや二つは来ていたのではないか?と私は思う。

そんな窮地に追い込まれた状態でも時間というのは止まることがなく途方に暮れたまま刻一刻と修学旅行まで日が迫る。2日目からの観光する場所を決めるのもうまくいかず最後の最後までなかなかまとまらず途方にくれる。イタリア=オシャレという考えだけの人や国旗の色3つすらわからない人も多くいたので当然イタリアについて全然知らない人多いので観光する場所が決まらないのも普通だ。こんな不満をため込みながらも私はなんだかんだインターネットや本を使い調べ観光する場所や何をするかなど着々と準備していった。

時間はあっという間に過ぎて気がつけば日本を離れる日がやってきて気づけば飛行機に乗っていた。初めて乗る飛行機の窓越しから見る風景に私は深い感銘を受けた。横を見れば手で掴めそうなくらい近くに雲があり、下を見ればツンドラの大地が広がっている。初めての飛行機はピンチどころかとても素晴らしい思い出になった。

日本からイタリアという約12時間のフライトを終え無事に空港について飛行機から降りてみると当然ながらそこにはたくさんの外国人がいる。看板の字もイタリア語で書いてあり、看板に映っている人も外国人。初めて見る外国、緊張しているせいか、冬なのに手に湿り気を感じる。ホテルについてもテレビなど日常的なものから外国に来たという実感がわいてくる。

私は当初、イタリアにいる人、すべてがスリや危ない人の様に見え、警戒していた。しかし、実際はスリの被害にあった人や危険な目にあった人など誰もいない様子で、むしろ友好的な人が多く、私が持っていたイメージとは大きく異なっていた。観光していると日本人は目立つらしくあちこちで声をかけられ、少し前に日本で流行ったお笑い芸人のネタや中田英寿などの日本人のサッカー選手の名前を言ってきたので驚いたが人柄の良さに好印象を抱いた。一人で行動しているときに腕をつかまれ物を売られそうになったときはさすがに焦ったが想定の範囲だったので驚くほど落ち着いて対処することができた。

もしかしたら動揺し、物売りに何か買わされていたかもしれないし、危険な目にあっていたのかもしれない。しかし、ピンチになる前にあらかじめあらゆるケースを考えておけば仮にそういう事態になったとしても落ち着いて行動できるということを身を持って体験した。「恐怖は常に無知から生じる」という言葉があるがまさにその通りである。

まだ短い人生ではあるが最大のピンチであったイタリアに行くということは本当にピンチでもあったが
「ピンチはチャンス」
という言葉の様に私の人生最大のピンチは人生最高のチャンスでもあり、素晴らしい経験をすることができた。

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再び旅行ネタですね。

旅行でいろいろな経験をするのはいいことです。ふだんはさほどの緊張感もなく暮らしている人でも、旅先ではそれなりに気を使ったりします。トラブルが起きても基本的には自分で解決しなければなりません。

では、名無し8号さんの経験は、本当に「ピンチ」だったのでしょうか。ふつう「ピンチ」というのは、なんらか客観的にまずい状況を指すわけですが、ことばのわからない土地へ高校生のグループで旅行することは、安心できる状況ではないにせよ、「ピンチ」と呼ぶのはちょっとちがう気もします。似たような状況の旅行者はたくさんいるでしょうからね。しかし、名無し8号さんにとってこれは非常に不安な経験であったと。つまり、客観的にはそうピンチでもないことが、主観的にはたいへんなピンチのように感じられてしまったわけですね。

おかげで、名無し8号さんは緊張感をもって修学旅行に臨み、結果として多くのことを学ぶことができました。このあたり、イタリアやフランスを選んだ先生方はなかなかうまくやったように思います。「かわいい子には旅をさせ」とはよくいったものです。いやほんとの話、もしこれが中東の某国だったり、アフリカの某国だったり、中南米の某国だったりしたら、これは下手すると本当に笑い事ではすみませんからね。

せっかく「グローバル」ということばがついた名前の学部に入ったのですから、ぜひこれからさらにいろいろなところを旅行していただきたいと思います。日本とまったくちがった文化や人々に触れれば、世界の広さを実感できるでしょう。逆に外国で「日本」を感じさせるものと出会えたなら、「世界でがんばっている日本人がいるのだな」ということがわかるかもしれません。世界を知れば、もっと日本を知りたいと思うようになるはずです。もちろん、「本当のピンチ」にはならないように注意していただきたいですね。


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