« 駒大駅伝チームドキュメンタリー『駒伝~“HAKONE”目指して、追走中』YouTubeにて展開 | トップページ | 新ゼミ生課題作品:エッセイ「私の人生最大のピンチ」10 »

2009/04/06

実践メディアビジネス講座Iで「オタク市場」を取り上げます

駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部には、メディア・コンテンツ関連業界の実務家の方をお呼びし、ビジネス現場のお話をしていただく「実践メディアビジネス講座」という科目があります。年間に4科目開講していますが、2009年度前期開講の「実践メディアビジネス講座I」のうち山口が担当する前半6回は「『つくる』と『つかう』の接点―コンテンツの製作と利用」と題して、「オタク市場」をテーマに取り上げます。この6回の講義については、ニコニコ動画にて、ストリーミング及び録画映像の配信を計画しておりますので、ここに告知させていただきます。
(山口)

講義は毎週月曜日の13時から14時30分までの90分間です。講義のスケジュールは次の通りです。初回は山口によるイントロダクション、2回目以降、5人の講師の方々に登壇していただきます。

4月13日 山口によるイントロダクション 4月20日 タレント 桃井はるこ氏 4月27日 ㈱虎の穴 吉田博高社長 5月11日 ㈱野村総研 情報・通信コンサルティング部 北林謙氏 5月18日 ㈱ニワンゴ 杉本社長 5月25日 JASRAC 菅原常務理事

趣旨について簡単に説明をしておきます。詳しくは第1回のイントロダクションにて。

政府は「知的財産立国」の旗印の下、知的財産戦略本部を設置して、知的財産推進計画を策定しています。この基礎をなすものとして、「知的創造サイクル」という考え方があります(知的財産戦略推進事務局のウェブサイトに出ています)。

つまり、「つくる」→「守る」→「つかう」→「つくる」→・・というサイクルです。それらをつなぐものが発明・創作の促進であり、知的財産権の保護であり、収益化の促進であるというわけです。しかしこのサイクルには、各所に漏れやほころび等があり、必ずしもうまく回っていかないところがありました。その典型的なものの1つが知的財産権保護です。たとえば不正利用の横行、保護年限の短さ等によって創作者が充分に守られない状態となるために、創作活動が阻害され、活用にも支障が生じるという逆向きのサイクルがあるというわけです。となれば、保護を強化し、不正を摘発していくことは重要な意味を持ちます。

ただ、他方でコンテンツは、使われなければ価値を持ちません。保護が完璧でも、「門外不出」になってしまっては活用しようがないのです。また、創作者たちもまったくのゼロから創り出しているわけではなく、過去のさまざまなコンテンツをふまえ、利用していますし、他の創作物を改変すること自体も創作表現になりえます。こうした立場からは、保護はやりすぎれば利用を阻害する要因とみられることになります。つまり、「つくる」と「つかう」は相対立する部分を持っている、ということになります。

しかし今、コンピュータとインターネットの発達により、コンテンツに関する「つくる」と「つかう」の関係は、大きく変わろうとしています。それは、これらの新しい技術が、コンテンツの創造、保護、利用のそれぞれに新たな可能性を開くとともに、コストを大幅に下げているからです。

その象徴的な例の1つが、昨年の、ニコニコ動画での楽曲利用に関するJASRACとニワンゴの契約でしょう。かつてニコニコ動画では、著作権侵害が数多くみられました。その対処として、違法動画を削除したりアップロードしたユーザーに警告したりという手段や、違法動画を検知する技術の開発等が話題になってきたわけですが、もう1つ、契約を交わして利用料金を支払う、という方向性があったわけです。JASRACが扱うのは音楽ですが、映像についても、たとえば権利者が自ら公式チャンネルを開設して公式に動画を配信する等、契約による不正利用の解消というアプローチが幅広く行われるようになってきました。

コンテンツ創造と無許諾のコンテンツ利用との関係については、もう1つ、二次創作の問題をはずすことはできません。特に、無許諾の二次創作は、同人作品にしばしばみられますが、これがクリエーター育成プロセスにおいて大きな役割を果たすことは、以前から知られていました。特に、近年の技術進歩により、個人の入手可能な環境でもかなりのレベルのコンテンツが作り出せ、また広く発信できるようになってきました。さらに、コンテンツ制作のコストが増大したり、あるいは予算制約が厳しくなったりしている現状では、商業コンテンツ創造の分野でも、完全なプロフェッショナルだけでこれを行うことは次第に難しくなってきています。

つまり今、コンテンツをめぐる「つくる」と「つかう」の関係は、新たな時代を迎えようとしているということです。この最先端にあるのが、「つくる」と「つかう」の双方の立場からコンテンツに触れている、「オタク」と呼ばれる人々です。したがって「オタク市場」で起きていることを見ていけば、メディア・コンテンツ業界の新たな可能性や課題を考えることにつながります。

こうした動きについて、その最前線の現場で活躍しておられる皆様にご講義いただこうというのが、このシリーズの目的です。「つかう」の立場から二ワンゴの杉本社長と虎の穴の吉田社長、「まもる」の立場からJASRACの菅原常務理事、「つくる」の立場から桃井はるこさんにおいでいただきます。野村総研の北林さんは、オタク市場を分析してこられたお立場から、より高めの視点でその意義についてお話いただこうと考えています。多方面からの話を総合することで、より立体的な理解につながればと思います。

履修している学生に対しては、この講義の内容について、試験ないしレポートを課します。詳しくは第1回のイントロダクションにて。

講義の模様は、ニコニコ動画内で、「ユーザー生放送」と、録画の2本立てで公開していこうと計画しています。詳しいことは今後このブログにてお知らせしますので、ぜひご注目いただければと存じます。

第1回生放送についてのページへのリンクはこちら。 生放送ページへのリンクはこちら

|

« 駒大駅伝チームドキュメンタリー『駒伝~“HAKONE”目指して、追走中』YouTubeにて展開 | トップページ | 新ゼミ生課題作品:エッセイ「私の人生最大のピンチ」10 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 実践メディアビジネス講座Iで「オタク市場」を取り上げます:

« 駒大駅伝チームドキュメンタリー『駒伝~“HAKONE”目指して、追走中』YouTubeにて展開 | トップページ | 新ゼミ生課題作品:エッセイ「私の人生最大のピンチ」10 »