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2009/05/02

新ゼミ生課題作品:エッセイ「私の人生最大のピンチ」12

駒澤大学GMS学部山口ゼミでは、2009年度ゼミ生募集に際し、課題作品の提出を求 めました。ここでは提出作品を順番にご紹介しています。エッセイ部門の課題は「私の人生最大のピンチ」です。これはマーティンさんの提出作品です。
(担当山口)

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私の人生最大のピンチは、「私」だけのピンチでなく、「私たち」のピンチでもあった話です。

話は、私が中学生だった頃にまでさかのぼります。中学3年生9月の秋、合唱コンクールがありました。私はそれまで、体育祭、合唱コンクール等で賞をとったことがなく、そのコンクールが中学の3年間で最後のイベントだったので、どうしても賞を取りたいと思っていました。

6クラスある中で、上位3クラスが賞をとることができます。私たちのクラスの合唱のレベルは、決して高いといえるものではなく、別の3クラスが歌がうまいと評判でした。しかし私たちは、クラスとして最後のイベントを前に、誰もがやる気に満ちていました。

合唱のパートは、アルト、ソプラノ、テノール、バスに分かれます。私はテノールのパートに入っていました。テノールのパートのリーダーとして任命された私の仕事は、テノールをまとめ、指示することです。課題曲「聞こえる」を歌うことになり、練習を始めたのですが、全体としてさほど悪くはないものの、私たちのテノールが足を引っぱってしまっている状況でした。

パートごとに練習を重ねましたが、すぐにはレベルが上がるはずもありません。他のクラスは調子がいいという話を聞くにつけ、「このままでは最下位かもしれない」と、クラス全体が重苦しい雰囲気に包まれていきました。

私はとてもくやしいと思いました。初めてパートリーダーになったのに、自分のパートが足を引っぱっていたからです。「何が何でも勝たなくてはいけない」という責任感や「うまくいかない」という焦りが募り、自分を責めるばかりで、何が何だかわからない状態です。まさに最大のピンチでした。

そのとき、私は気づきました。リーダーがこんな時にネガティブになってはいけない。自分が前向きに物事を考え、みんなを勇気づけなくては。とにかく明るくふるまい、練習場の雰囲気を明るくすることを心がけました。

また、「うまく歌う」ことから少し離れて、初心に戻って、みんなで歌の意味を考えることにしました。それまで私たちは、「とにかく歌をうまく歌う」ことだけに気持ちが行ってしまっていたからです。しかし、心を打つ歌を歌うためにはまず、自分が何を歌っているかを理解し、皆が同じ気持ちにならなければなりません。

調べてみると、「聞こえる」という曲は、世界で起こっている環境破壊、ベルリンの壁崩壊などの大きなできごとを前に、「自分が何もすることができない」という葛藤を描いた曲ということがわかりました。私たちは、このメッセージを聞いてくれる人に伝えることを目標に立て、皆で歌について意見を交換したりしました。そうするうち、歌が苦手という人を放課後に個別に教えたり、教室を借りてみんなで練習をしたりと、練習にも熱が入るようになり、クラスの雰囲気が変わっていきました。もう誰からも、「だめかもしれない」という言葉を聞くことはありませんでした。

そうした迎えたコンクール当日、みんなは緊張しきっていました。歌う時に大切な笑顔が消えてしまっていて、そのままではうまく歌えそうにありません。そこで私は、指揮者が手に先生の似顔絵をペンで書くことを提案しました。歌が始まる直前、指揮者がみんなにその似顔絵を見せると、みんなが笑顔になり、ぐっと雰囲気が和らぎました。こうして私たちは、最高の状態で歌を始めることができたのです。歌い終わり、全力を出し切った皆が、達成感と笑顔で包まれていました。

結果は2位でした。1位ではありませんでしたが、皆で同じ目標に向かって全力で取り組めたことを何よりもうれしく思いました。中学校生活で一番最高の瞬間でした。結果発表の時、審査員の方々が、「どのクラスよりも歌のメッセージを考え、思いをよく伝えていた」とコメントしてくれました。私たちが立てた目標が実ったのです。この後もクラスの団結力は高く、3年間で一番仲のいいクラスでした。

僕はこの経験で感じたことがあります。「前向きに考え行動を起こすこと、コミュニケーションをとること」ということです。もし「聞こえる」の意味を調べる行動をしなかったら、何も始まらずクラスはバラバラのままだったでしょう。またコミュニケーションをとることで団結でき、誰一人として諦めることはなかったのです。だからこそ最下位かもしれないところから2位になれたのだと思います。

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いろいろわかりにくいところがあって、原稿にだいぶ手を入れました。おそらく原文の意味を大きく変えてはいないと思いますが、細部までは保証できません。ともあれ、リーダーシップの危機を乗り越えたわけですね。いい経験だったと思いますが、それが「過去のできごと」で終わってしまってはもったいありません。ぜひ今、そしてこれからの自分の行動を変えていっていただきたいものだと思います。


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