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2009/09/28

【こち駒ブックレビュー】夜のピクニック【本屋大賞のススメ~其の弐~】

秋の夜長、みなさんはどうお過ごしでしょうか。

夜は読書をして過ごすという方も多いかと思います。

私くろたんも長い夜には読書をして過ごしております。

こち駒ブックレビュー本屋大賞シリーズ第2回目は、そんな夜読書派の方にお勧めの本をご紹介いたします。

今回ご紹介するのは、恩田陸さんの青春小説「夜のピクニック」です。

夜のピクニックは、第2回本屋大賞を受賞した恩田陸さんの代表作の一つです。
恩田陸さんの多くの作品にみられるように、この作品にもどこか懐かしい感覚を覚える「ノスタルジー」に溢れています。

~あらすじ~
高校生活最後の大イベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロの道のりをひたすら歩くという全国でも珍しい行事。
この歩行祭に、北高3年の甲田貴子はたった一人で「小さな賭け」をしていた。
それは、ある事情から入学以来一度も話しかけることができなかったクラスメートの西脇融に一言話しかける、というもの。
気心の知れた友人たちと将来の夢や恋の話、高校生活の思い出話で盛り上がりながら、貴子はチャンスをうかがっていた。
恋心とは違う、親友にも話すことのできない貴子と融の事情とは?

世の中には多くの青春小説がありますが、この「夜のピクニック」のような小説はほかにあまりありません。
この本が他の青春小説と違う点、それは「何も起こらない」という点です。

貴子と融の通う北高には、修学旅行がなく、代わりに歩行祭というイベントが用意されています。
登場人物たちは、当然、歩きます。作中では歩くシーンか休むシーンしかないと言っても嘘ではないと思います。
それくらい何も起こらないのです。
では、なぜこの本が本屋大賞を受賞するに至ったのか。
それは、「誰もが経験した高校生活」がこの本に詰まっているからではないでしょうか。
夜の訪れにワクワクし、気の合う仲間と将来の夢や高校生活の思い出を語り合い、恋の話や他クラスの噂話で盛り上がる。
10代の揺れる心の模様や、背中がむずむずしてくるような会話の数々がこの本には描かれています。
誰もが経験した本当の青春がこの本には詰まっているのです。
そしてその懐かしい青春の思い出を、ノスタルジーを描く達人である恩田陸さんが登場人物の細かな心理描写を巧みに使って見事に表現しています。
会話の一つ一つでクスリと笑ってしまったり、もしかしたら苦い思い出も蘇ってくるかもしれません。
そんななんでもない、言ってしまえば「日常」を描いた作品だからこそ、人々の支持を得られたのではないでしょうか。

以下読後の感想

ただ歩くだけの歩行祭をこれだけ特別な物語に仕上げることができる恩田陸さんにまず脱帽です。
苦いようなすっきりするような読後感はなかなか味わうことのできないものだと思いますが、夜のピクニックではもれなく高校時代の思い出と共に味わうことができます。
初めて読んだ時から、これは世代を超えて語り継がれるべき作品だと感じました。
素晴らしい作品に出会わせてくれた恩田陸さんに感謝です。
読んでいる間は誰もが高校生に戻れる「夜のピクニック」、イチオシです。

ちなみに、恩田陸さんの短編集「図書室の海」には、夜のピクニックの登場人物たちの、歩行祭の前日譚を描いた短編「ピクニックの準備」が収められています。こちらもおススメです。

そして、この作品も本屋大賞受賞後の2007年に映画化されています。
監督には新進気鋭の長澤雅彦さん、キャストには多部未華子さん、石田卓也さん、貫地谷しほりさんなど、当時デビューしたばかりやまだ無名だった人が多く起用されています。
現在では有名になっている女優・俳優陣の初々しい演技が作品の印象にマッチしていて楽しめると思います。
前述したピクニックの準備もスピンオフ作品としてDVDが発売されています。
こちらもぜひ。

Auther:くろたん



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