« 東日本大震災被災者応援楽曲「たね」 | トップページ | 2011年度ゼミ募集及び説明会開催について »

2011/04/02

ご入学おめでとうございます

駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

今日は、入学式が行われるはずの日でした。しかし今年は地震の影響で入学式は行われず、授業も5月からとなっていますので、まだ実感はあまりないかもしれません(参考)。とはいえ、もう学生証は交付されていますし、一部の日程は行われるようですから、実質的にはもう大学生活が始まっているということになるのでしょう。もちろん教職員の仕事は当然ふつうに行われています。

2011年3月11日の東日本大震災、及びそれに続く原発事故で被災された新入生の皆さんには、心よりお見舞い申し上げます。中には、大切な方を亡くされた人もいるかもしれません。謹んでお悔やみ申し上げます。

「3.11以降、日本は変わった」と考える方が多くいらっしゃるようです。これまで日本が築きあげてきた経済基盤に大きなダメージをこうむり、そして何より、「退屈だが安定した生活」への信頼感が失われた、ということでしょう。中には「第2の敗戦」と評する人もいます。喪失感のようなもの、単に物質的なものだけではなく、精神的な意味で「何かを失った」と感じる人が少なからずいることは理解できます。また、かつての終戦後と同じように、「ここから立ち上がるのだ、復興するのだ」と前向きにとらえようとする考え方もあるようです。

私もほぼ同意見ですが、もう1つ付け加えたい点があります。それは、この災害が、私たちの社会における変革の必要性を大きく後押しした、ということです。

震災以前、私たちの社会は、さまざまなところで閉塞状況に陥っているといわれていました。つまり、あちこち不満はいっぱいあるが、極端に悪いという状況でもないし、どこかを動かそうとすると必ずどこかに支障が出てくるから、どうにも身動きがとれない状況ということです。それらは、震災の後でも、さして変わってはいません。そして、その上に、震災によるさまざまな困難が付け加わりました。

このことが意味するのは、ただ「昔」に戻すだけではいけない、ということです。もともと私たちの社会は、さまざまな変革を迫られていました。そしてそれを、現状が「そこそこ快適」であることを理由に、先延ばしにしてきたのです。しかし、そうした余裕は、もはやなくなりました。待ったなしで、どんどん進めていかなければならない状況に直面したのです。

こうした混乱期には、若い力と知恵が最も必要とされます。大学で、それを身につけてください。知識や知恵の重要性は、かつてないほどに高まりました。大学でなければ勉強できないというものではありませんが、体系化された知に触れることは学びの過程を効率的にします。もちろんそれだけで充分というわけではありません。大学で教えられる内容は、あくまで基礎となるものです。その先は、さまざまな経験を通して、また自分で深く考えることによって、自分自身でつかみとっていく必要があります。そのための時間の余裕も、大学生活にはあるはずです。ぜひ有効に使ってください。この4年間(人によってはもっとかかるかもしれませんが)をどう過ごすかは、その後皆さんがどんな活躍の場を獲得するかを決定づける、とまではいきませんが、少なくとも大きく影響するはずです。

「Chariots of Fire」という映画があります。邦題は「炎のランナー」で、1981年に公開され、第54回アカデミー賞では、作品賞を含む4部門で受賞しました。テーマ音楽も有名なので、聞けば知っているという人が多いかもしれません。この映画は1920年代の英国での実話をベースにしていて、1924年のパリオリンピックに短距離走の選手として参加したユダヤ系英国人の男性が主人公です。

この映画の中で、主人公が1919年、ケンブリッジ大学に入学した際のフレッシュマンズ・ディナー(新入生歓迎会のようなものでしょうか)で、カレッジ・マスターが新入生たちに向かってスピーチをするシーンがあります。1919年といえば、その前年に第一次世界大戦が終わったばかりです。この大戦では、ヨーロッパを中心に多くの若者が戦死しましたが、その中にはケンブリッジ大学の学生たちも数多く含まれていました。壁に刻まれた、そうした戦死学生たちの名簿を見ながら、カレッジ・マスターは新入生たちに対して、「彼らの夢は君たちに託された」と説きます。最後にそのくだりを引用しておきます。状況はもちろん大きくちがいますが、今後の社会が皆さんに託されているという点では、共通するものがあるはずです。少なくとも、皆さんがそう感じる人であってほしいと、私は思います。新入生の皆さんの、今後の健闘に期待します。

" . . . And now by tragic necessity their dreams have become yours. Let me exhort you: examine yourselves. Let each of you discover where your true chance of greatness lies.
For their sakes, for the sake of your College and your country, seize this chance, rejoice in it, and let no power or persuasion deter you in your task."


|

« 東日本大震災被災者応援楽曲「たね」 | トップページ | 2011年度ゼミ募集及び説明会開催について »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ご入学おめでとうございます:

« 東日本大震災被災者応援楽曲「たね」 | トップページ | 2011年度ゼミ募集及び説明会開催について »