駒大GMS学部「コンテンツビジネス論」特別講義「映画におけるフラッシュマーケティング」
駒澤大学GMS学部2011年度前期科目「コンテンツビジネス論」の特別講義として、「映画におけるフラッシュマーケティング」をニコ生で中継します。ゲストとして、映画専門クーポン共同購入サービス「ドリパス」を運営する㈱ブルームの五十嵐社長と、同社のプロデューサーをお迎えします。
※追記
スライドを公開しました。
今期は震災の影響で、大学のスケジュールが変更されましたが、それに伴い、授業回数を確保するためにe-learningを活用することとなっています。今回の特別講義は、これをニコ生で行ってしまおうというものです。「コンテンツビジネス論」は、1年生から受講できる、いわば入門科目ですが、できるだけ新しい動きを取り入れたいと考え、映画のクーポン共同購入サービスを取り上げてみることにしました。
コンテンツ業界は、もともと上がり下がりの激しいところではありますが、総じていえば、収益の伸び悩みに苦しんでいる状況かと思います。新たな収益源、これまで生かし切れていなかった経営資源を生かす手法が求められています。
クーポン共同購入サービス、業界ではフラッシュマーケティングとも呼びますが、こうした手法は、主に物販や旅行などのサービス業の分野で昨年大ブレークしました。「ドリパス」は、この手法を、映画のチケット販売に応用し、主に旧作の上映イベントを各地の映画館で行っています。一定数の購入者が集まらなければイベントは開催されず、購入者もイベントが成立した場合のみ代金を払えばいいというしくみは、なかなかおもしろく、よくできていると思います。
しかし、フラッシュマーケティングについては、急拡大と同時に、今年初めのおせち料理の事件にもみるような、販売する物が広告と異なるケースがあるといった問題も表面化しました。こうした問題の多くは、管理が行き届かない個別事業者の問題とみるのが適切でしょうが、こうした手法自体に適した対象とそうでないものがあるという要素もあるかと思います。
最大の問題は、販売される物がどんなものかについての情報が、広告だけでは充分には伝わらないということです。ふだん私たちが食べ物を買うときは、あらかじめよく知っていて信頼できるものを買うか、よく知っていて信頼できる製造者や販売者から買うかといった具合に、品質についてあまり気にしなくてもすむようにしています。しかし、クーポン共同購入サービスでは、そうしたよく知っている商品、よく知っている販売者ではないケースがあり、中には安心できないものが含まれているおそれがあります。
これは通常のネット通販でも同じですが、ここで、ネット販売サービスを提供する事業者などが間に入り、ある程度の信頼性を担保しているのが現状と思われます。その意味で、例のおせち事件は、信頼できない製造者が悪いというだけの話ではなく、そうした事業者が作ったものをチェックなしに取り上げてしまったクーポン共同購入サービス事業者にも、責任の一端はあったということができます。
今回とりあげる「ドリパス」は、映画専門のクーポン共同購入サービスです。「商品」としての映画は、過去に公開されある程度評価が固まったものであれば、「おせち」のように、商品の実際の内容がわからないということがありません。上映される映画館も、ふだんから私たちが利用している映画館ですから、どんな環境で上映されるかもほぼわかります。購入者が、自分の意図していたものとちがったものを買ったという問題は、比較的生じにくいでしょう。その意味では、おせちなどと比べると、共同購入サービス向きといえるかもしれません。
とはいえ、おせち事件でミソをつけた最大手の会社も含め、この業界は新しい企業が多いので、歴史のある企業が多い業界と比べて、必ずしも充分な体制があるとは限りません。いろいろご苦労もあろうかと思います。せっかくお越しいただくので、五十嵐社長には、そうしたお話もお聞きできればと思います。
今回の授業では、先に、映画上映イベントのためのチラシの宣伝文句を考える、という課題を出してあります。6月25日に全国で開催される、マイケル・ジャクソン「THIS IS IT」上映イベント(新宿、川崎他)にからめたもので、画像素材にセリフをつけるという、いわば大喜利方式です。五十嵐社長とともに、優秀作を選んでいきたいと思います。
また、この特別授業の中で、別途履修者向けの課題を出す予定です。こちらは駒澤大学のe-learningシステム「YeStudy」にて回答を提出してもらう予定です。
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